新作 不定期便
ここでは新作を不定期ではありますが
ご紹介いたします。(新着順)
雨上がり雲の裂け目に顔を出す光の束が生駒(いこま)嶺(ね)を射す (入選)
ジム帰り薄雲かかる太陽が目玉焼きに見ゆ空腹なれば (入選)
歌浮かぶときに限って手帳なく箸の袋に書いて帰り来(く) (入選)
)
令和6年3月NHK全国短歌大会
難聴の私を素通りする討論 みんなが笑えば私も笑う(秀逸・中津昌子選)
角川歌壇(令和6年2月)
東西にドイツを分ける壁の址いまや桜の名所となりぬ(佳作・千葉聡選)
ふる里の分校ありし公園に桜百本植えられたらし(佳作・千葉聡選)
一段を昇れる喜びまた一段いつしか着きぬわが家の六階
(佳作・藤島秀憲選)
腹の中二つの薬がヤアヤアと君は脳かい私は下剤(佳作・藤島秀憲選)
城堀(しろぼり)の水面を覆うハスの葉がひしめき合いてバンザイしてる
(佳作・前田康子選)
城濠(しろぼり)にうつる天守のシャチホコがさざ波受けて泳ぎだしたり
(佳作・前田康子選)
令和5年12月NHK冬の(全国)大会
風のなぐ鏡のごとき海面に釣り人一人まき餌を投げる(佳作)
第69回角川短歌賞発表「角川短歌2023年11月号 掲載」
民間のロケット打ち上げ成功に夜空の星がまた一つ増ゆ(特選)
一段を上れる喜び重ねてゆけばいつの間にやらわが家の六階(佳作)
病室の窓のガラスに音もなく流れる雨滴は静脈のごと(佳作)
令和5年9月・NHK秋の大会
人里でヒトを襲いし熊一頭すべての責を背負うがに死す
(秀逸・綾部光芳)令和5年9月・角川誌上全国大会
雨上がりトウモロコシの葉に残る滴(しずく)を覗けばまあるい葉脈
(入選・吉川宏志)令和5年9月・子規顕彰全国大会
<令和4年12月NHK冬の誌上大会>
タクシーがどこの国でもタクシーと呼ばれる訳を私は知らない
(佳作:大辻隆弘)
<第43回全国短歌大会>2022年8月
縁日の祭りに集う人々のマスクが吸い込むイカ焼きの匂い(秀作賞)
自販機の釣り銭こぼす老いしわれ駆けより拾う子の愛らしさ(優良賞)
<令和4年NHK夏の誌上短歌大会>
地球より消えることなき核のごみ「うすめて海へ」は永遠の恥
(佳作;春日いずみ選)
ビニールの白きカバーははずされてワッと顔出すチシャの葉の青
(佳作;黒瀬珂らん選)
<第13回角川全国短歌大賞 永田和宏 選「秀逸」作品>
誰か来て手紙かハガキか入れてくれ退屈している私はポスト
角川書店 「短歌」2022.6月号
掲載
<新作 入選作品>
筋肉は引っ張られるから伸びるのさ自分だけでは伸びられぬから(入選)
うっそうと茂りしカシの剪定に広がる青空冬の公園(入選)
満潮でベネチアの道は海の中ゴンドラで行くビルの谷間を(入選)
田植期の馬のからだは泥だらけ小川に連れ行き洗いし夕べ(入選)
◇河野裕子賞(選外・歌集に収録)◇
孫娘タップダンスを始めたとカタコト鳴らす電話の向こう
幼子のわれを見つめる視線あり目と目が合えば恥ずかしげに笑み
NHK「秋の誌上短歌大会」 2首が佳作入選
海中のウニによく似たアメリカフウの棘のある実が足もと埋める
(今野寿美人 選)
戦死せる父の墓には母と兄 墓参に行きたしコロナがなくば
(内藤 明 選)
NHKが成績をポイント化(特選8点,秀作5点、佳作2点)
令和2年度=全国8位、令和3年度=同5位
<上記以降の入選作品>
ベランダの選択ばさみに吊るされた白きマスクが空気吸ってる
(佳作東直子)
パソコンに毒されているわが指の手書きの文字が滑って転ぶ
(佳作笹公人)
運転手不要となりし無人バスやがては街を不気味に走る
(佳作水原紫苑)
2021/03〜08
令和3年3月NHK全国大会(NHK伊香保)
・自動車の急ブレーキを聞くような春一番に帽子がぶっ飛ぶ(佳作藤島秀憲)
・欧州が真ん中にある地図見れば日本は「極東」パンくずのごと(佳作藤原龍一
郎)
・軍服の若き乙女が銃をもちバスに乗りくるイスラエルでは(佳作藤原龍一郎)
令和3年8月NHK全国大会(NHK夏の誌上)
・たこ焼をころころ回すオジサンの手元に踊る千枚通し(佳作今井千草)
・補聴器を外してみれば一瞬に静けき森の奥に入りたり(佳作今井千草)
(佳作大熊俊夫)
・歩くとは少し止まると書くのだと言われて納得さあ歩こうか(佳作高山邦男)
(佳作大熊俊夫)
(佳作桜井京子)
・写真見て頭のてっぺん薄い人それが君だと言われて驚く(佳作高山邦男)
・葉かげなる寒椿の花ひとすじの日差しに真紅の色あたらしき(佳作桜井京子)
・キッチンへ何しに来たのと問われても思い出せないハナイチモンメ(佳作桜井京)
令和2年3月29日NHK(武蔵野)全国大会 出典作品
・この頃は雨滴のサイズが大きいと思えるのだが本当はどうか(秀作)
・沈みゆくベネチアの名所サンマルコ広場に浮かぶビール瓶光る(秀作)
・夜釣りする岸壁に立つ釣り人のヘッドライトに光る太刀魚(入選)
〜番外編〜 2020/12/19
<かねこ流ちんたら節(短歌)>
・何事もそれを仕事とするならば楽しくもあり楽しくもなし
・願っても叶わぬ事は多けれど願うことから事は始まる(入選)
・気にしない気にしだしたら切りが無い今日は今日なり明日は明日なり
・今日中に済まさなくても良いことは明日に延ばそう明日有るならば
・世の中に理不尽なことは多けれど見ようによっては丸も三角
・あと何年生きられるのか分からぬが今はとにかくお腹(なか)が空いた(入選)
・まなぶたを閉じて一日(ひとひ)を振り返る何もなかった特別なことは
・今日という一日(ひとひ)を無事に過ごせたら明るい日と書く明日があるさ
・年金で暮らし始めて十二年ほどほどの財にてそこそこに生きる
・この頃は歌がちっとも浮かばない 牧水読んでも啄木よんでも
・キッチンへ何しに来たのか問われても 思い出せないハナイチモンメ
・八十(やそ)路(じ)まで生きてるなんて何とまあ 悪運つよき人生なんだ
2020/12/2
・コロナ禍でシャッターおろした商店街 令和二年のゴーストタウン
・晴れた日の空の広さを測るごと飛行機雲がまっすぐ伸びる
・きっとまた妻は言うだろう食卓で新聞読むなと退院しくれば
・「嘘だろう」「本当なんだ」と会話する久しき友に友の人生
2020/12/19
・「嘘だろう」「本当なんだ」と会話する久しき友に友の人生
(佳作佐藤孝子)
・わが窓の眼下にひろがる田畑(でんぱた)に種まく農夫の
てつきあざやか(入選)
・短歌詠む日々の楽しさ教えられ全てを忘れ時の過ぎゆく(入選)
・きっぱりと「前」の不快を忘れ去りこれから先の
「前」見て生きる(入選)
・入学し最初の二ヶ月バイトする学問よりも生きるが先と(入選)
・どこの国?日本とわかるヒントなり電信柱と電線の景(入選)
・モンゴルの国技のような大相撲がんばれ日本の力士たちよ(入選)
戻る